同性カップルが結婚できないことによって、困ることの代表格と言えるのが、「相続」問題。
ざっくり相続問題と言っても、実は、
②相続「税」問題
以上、2つの面があります。
このページでは、②の相続「税」問題の方に、フォーカスをあてて、
同性婚ができないことによって、相続税において私達はどれくらい損するのかということを、一緒に見ていきましょう。
maLuco
同性カップルの相続問題は、2つの面がある
まず、改めて、「同性カップルの相続問題」の2つの面を、確認しておきましょう。
①相続「できる・できない」問題
相続ができる、できないの問題。
これは、結構知られてますよね。
同性カップルは、今のところ結婚できないので、法定相続人(財産を相続できる権利のある人)となることができません。
つまり、遺言書を作成するとか、あらかじめ対策をしておかないと、財産を相続できなくなります。
②相続「税」問題。
では、相続「税」問題とは?
これ、結構知らない人多いんじゃないかな。
実は、遺言書で相続(正式には遺贈と言う)ができたとしても、税金面で、同性カップルはかなり損します…
なぜなら、法定相続人であれば受けられられる「基礎控除」や「配偶者の税額軽減」が受けられなかったり、さらに、「二割加算」というものが適用されてしまったり、、、簡単に言うと、税金高くなるんです。。
なので、
とは言えないんですよね。。
私は、都内の士業法人で、相続案件を何十件も扱ってきました。
そこで、何度も思わされたのです。
maLuco
そして同性カップル、マジで損…
って。
ということで、相続「税」問題について、詳しく見ていきましょう。
「相続税の仕組み」をザックリ知っておこう
まず、基本中の基本。
この社会では、亡くなった人から財産を相続する場合、税金をガッポリと取られます。
財産が多くなればなるほど、税金もたくさん取られます。
例えば、課税遺産額が1,000万円以下だったら、10%。
1億円以下だったら、30%という感じで。
(税率表を見たい方は、こちらの国税庁のサイトで。)
これは、遺言書を通して財産を受け取る場合でも、同じです。
相続税の計算の流れ
ここからは、相続税の計算方法を、順を追って見ていきましょう。
なるべく複雑なところは省いて、シンプルにしていますが、
ちょっと分かりづらいところでもあるので、架空のレズビアンカップルを例に出して、計算していきます。
・片方の女性が、5,000万円の遺産を残して亡くなった。
・亡くなった女性に、親や兄弟などの親族(法定相続人)はいない。
①まず、相続財産を確定します
相続税の計算で、一番最初にやるのは、相続財産の確定。
当たり前っちゃ、当たり前ですね。
不動産、預貯金、現金、有価証券などに加えて、「3年以内の贈与財産」なども、相続財産には含まれます。
ちなみに、債務や葬式費用は、この段階で財産から引くことができます。
今回の例では、合計で5,000万円でしたね。
債務などはなかったということにして、進めましょう。
②「基礎控除」を引きます
相続財産が確定したら、通常、そこから「基礎控除」というものを引きます。
これが実は相続税において、めちゃくちゃ大きいんです。
「基礎控除」ってどういうものかというと、
法定相続人の数だけ、相続財産を少ないものとして税金の計算してもらえる、というもの。
計算式は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)です。
例えば、法定相続人が1人いたら、
3,000万円+(600万円×1人)ということで、3,600万円分、相続財産から引いて、税額の計算ができるということになります。
しかし、レズビアンカップルは結婚できないので、法定相続人とはなりません。
つまり、悲しいかな、この「基礎控除」というものは、適用されません。。
この基礎控除額、かなり大きいので、痛すぎます。
もし、結婚して配偶者(法定相続人)となっていれば、5,000万円から3,600万円を引いた、1,400万円のみに課税されることにできるのですが、同性カップルの場合は、5,000万円そのものに課税されてしまうということです。。
世知辛いですよね。。
③相続税額を計算します
では、次に、相続税がいくらかかるのか計算してみましょう。
相続財産に、税率をかけて、所定の控除額(※ここで出てくる控除額は、先ほどの基礎控除とは異なります)を引くと、税額は出てきます。
5,000万円×20%(税率)ー200万円(控除額)となるので、
電卓を弾くと、、800万円。
凄まじい額ですね。。
もし、結婚することができて、配偶者だったとしたら、この数字もだいぶ変わってきます。
計算してみると、
1,400万円×15%(税率)ー50万円(控除額)=160万円
たった、160万円だったんですね。。
maLuco
④最後に、控除や加算します
最終段階として、先ほど出た税額に、様々な「控除」や「加算」が反映されて、納付額(支払う額)が決まります。
ここでまた、悲しい事実が二つ出てきます。。
1つ目、「配偶者の税額軽減」
結婚して配偶者となっていれば、実は、とびっきりの控除が受けられるんです。
それは、「配偶者の税額軽減」というもの。
コレ、どういった控除かというと、配偶者であれば、1億6000万円までは相続税がかからないんです。
つまり、今回の例でいえば、納税額は、なんと0円…!
しかし、もう分かると思いますが、同性カップルであれば、この控除が受けられません。。。
そして、2つ目は「二割加算」
いわゆる「2割加算」というものがありまして、
簡単に言っちゃうと、相続する人が兄弟だったり、他人(遺贈)だったりする場合は、相続税額を2割増にしちゃうね、ごめんね☆ってやつです。
800万円の2割は、160万円。
つまり、最終的に800万円+160万円なので、納税額が960万円に上がってしまうってことですね!
(ちなみに、養子の場合もこの2割加算適用されます…)
結婚できていれば、0円。
でも、結婚できないので、960万円。
結婚できるかできないかで、これだけ税金変わってきます。
まさにこれが、同性カップルが受ける不利益ってやつですね。
maLuco
同性カップルにかかる相続税、まとめ
ということで、同性カップルにかかる相続税に関して見てきましたが、いかがだったでしょうか?
相続税対策をガチでやっていくなら、遺言書作るだけではなく、
生前贈与などの方法も取り入れて、少しでも税金がかからない対策をしていく必要があります。
おそらくこのブログの読者には、こういった対策が今すぐにでも必要な方は少ないと思いますが、もし自分は当てはまるという方がいたら、なるべく早めに税理士などに相談することをオススメします。
相続税対策は、いかに早めに対策しておくかが肝!
maLuco