【SAVE THE CATの法則】映画鑑賞が、10倍面白くなる本

SAVE THE CAT

映画鑑賞が、10倍面白くなる本があります。

それは、「SAVE THE CATの法則」という本。

どんな本かというと、映画のシナリオ作りのコツが詰め込まれている本です。

なので、基本的には、脚本家に向けて書かれたものです。

しかし、脚本家以外でも、「映画好き」なら、楽しめる本

私は脚本家でも、これから脚本家を目指している人間でもありません。

でもある時ふと、「映画の脚本には、どんなパターンがあるんだろう?」と思い、何となくこの本を手にしてみました。

そして、読み終わって思ったのが、

maLuco

今スグ何かの映画を観て、本に書かれていたことを確認してみたい!

ということでした。

なぜかというと、この本を読んで、隠された映画の秘密を、知ってしまったような気分になったからです。

SAVE THE CATの法則って、どんな本?

「SAVE THE CATの法則」の著者は、ブレイク・スナイダーという、アメリカの脚本家。

まさに、脚本家による、脚本家のための本なのです。

本の目次は、こんな感じ↓

SAVE THE CAT 内容

この目次を見て、面白そう!って感じたなら、きっと楽しめます。

というか、期待以上に楽しめると思う。

SAVE THE CATの法則の、面白かった2つのポイント

この本の面白かったポイントは、大きく以下の2つ。

①本質的な「映画のジャンル分け」を知ることができる
②優れた脚本の「構成」を、学ぶことができる

順番に見ていきましょう。

①本質的な「映画のジャンル分け」を知ることができる

save the cat 映画 ジャンル

映画のジャンルといえば、コメディ、SF、ヒューマン、、といったものを思い浮かべますよね。

でも、この本で紹介されるジャンル分けは、ちょっと違います。

もっと本質的なんです。

「ストーリーの本質」を踏まえた上での、10個のジャンル分けが載っているのですが、これが面白い。

1つずつ、ザッと見ていきましょう。

ちなみに、ジャンルの名前は、著者ブレイク・スナイダーのオリジナル。

映画のジャンル(1)家の中のモンスター

まず1つ目は、「家の中のモンスター」というジャンル。

このジャンルの映画は、「危ない!奴に食われるな!」という、誰にでもわかる原始的なルールを根底にしたものになります。

作品例
ジョーズ、ジュラシックパーク

逃げ場のない空間で犯罪(原因は、たいてい人間の貪欲さ)が起こる→結果モンスターが生まれる→モンスターは罪を犯した奴に復讐する→それ以外の人間はとにかく逃げる、という流れ。

映画のジャンル(2)金の羊毛

2つ目は、「金の羊毛」というジャンル。

主人公は何かを求めて「旅に出る」んだけど、最終的に発見するのは、別のもの=自分自身というストーリー。

作品例
スター・ウォーズ、バック・トゥ・ザ・フューチャー、オーシャンズ11

このテーマの肝は、主人公が旅の途中で人々と出会い、いろんな経験して、「成長する」ということ。

映画のジャンル(3)魔法のランプ

3つ目は、「魔法のランプ」というジャンル。

「〜があったらいいのに」という願望を元にしたもの。

主人公はシンデレラのようにひどい扱いを受けていることが多く、だからこそ観客は願いが叶って欲しいと思う→でも、成功し続けると鼻についてくる→最終的に、主人公は普通の人間でいるのが一番だと気がつく、というストーリー。

作品例
マスク

映画のジャンル(4)難題に直面した平凡な奴

4つ目は、「難題に直面した平凡な奴」というジャンル。

どこでもいそうな奴が、どんでもない状況に巻き込まれる、というストーリー。

作品例
ダイハード、ターミネーター、タイタニック

maLuco

最近観た「トゥルーマンショー」も、このジャンルかな〜!

映画のジャンル(5)人生の節目

5つ目は、「人生の節目」というジャンル。

主人公は、人生で誰もが直面するような出来事(人生の節目)に打ちのめされるけども、受け入れることによって、最終的に勝利するというストーリー。

人生の節目には、みんな何かしらの経験をしているから、共感を呼びやすいジャンル。

作品例
酒とバラの日々

映画のジャンル(6)バディとの友情

6つ目は、「バディとの友情」というジャンル。

名前の通り、友情を描いたもの。

作品例
テルマ&ルイーズ

ちなみに、「バディ」の仮面を剥がせば、ラブストーリーと同じ。

ラブストーリーは、セックスの可能性が追加された「バディとの友情」映画。

映画のジャンル(7)なぜやったのか?

7つ目は、「なぜやったのか?」というジャンル。

犯罪が事件として明るみに出た時、その背後にある想像すらしなかったような人間の邪悪な性が暴かれるというジャンル。

作品例
市民ケーン

映画のジャンル(8)バカの勝利

8つ目は、「バカの勝利」というジャンル。

バカは皆に見下されるけど、そのおかげで最終的に勝利を手に入れるというストーリー。

作品例
チャップリン

大事なのは、バカに対して、「権力の悪者」がいるというところ。

アウトサイダーが、そういった悪者に勝つと、観客も自分が勝利したような快感を味わえる。

映画のジャンル(9)組織のなかで

9つ目は、「組織のなかで」というジャンル。

集団や組織、施設、ファミリーについて扱うジャンル。

主人公は自分の属す組織に誇りを感じつつも、組織の一員として生きるために自分らしさやアイデンティティーを失うという問題も抱えていることが多い。

作品例
ゴッド・ファーザー

組織を動かす根元に、「狂気」や「自滅的」なものがあるというのが、共通項。

このジャンルは、新しく組織に入ってきた人物の視点によって語られることが多い。

映画のジャンル(10)スーパーヒーロー

10個目は、「スーパーヒーロー」というジャンル。

「難題に直面した平凡な奴」の真逆にあたるジャンル。

超人的な力を持つ主人公が、ありきたりで平凡な状況に置かれるというもの。

作品例
スパイダーマンや、ビューティフル・マインド

10個のジャンル分けまとめ

以上が、10個の「本質的な」ジャンル分け。

maLuco

面白くないですか?

こういうジャンル分けをすることで、脚本家は、自分が作るものと、既存の映画を比較しやすくなると。

そうすることで、自分の映画に足りていない要素や、ヒントを見つけやすくなりそうです。

こういう本質的なジャンル分けって、音楽とか小説とかでもやってみたら、かなり勉強になりそうですよね。

②優れた脚本の構成を、学ぶことができる

save the cat 映画 構成

さて、ではこの本の面白かったポイントの、2つ目を見ていきましょう。

それは、「脚本の構成」についてです。

著者のブレイク・スナイダーが言語化した「構成」は、ハリウッドでも使われているようです。

どんな構成かというと、こんな感じ↓で、15個のパーツに分かれています。

STEP.1
オープニング・イメージ
・主人公の出発地点を示す場。
・オープニング・イメージが優秀なものは、たいてい作品全体も優秀。
STEP.2
テーマの提示
・冒頭から5分くらいで、登場人物の誰かが問題を提起したり、テーマに関連したことを口にする。
・良い脚本では、必ず何か(テーマ)について主張している。
STEP.3
セットアップ
主人公に足りないものを見せる場。
STEP.4
きっかけ
何かが起こるきっかけ。
STEP.5
悩みのとき
・主人公が行動を起こすまでの悩む時間。疑問を抱くとき。
・ここで出た疑問に、主人公は答えを出して、前進する。
STEP.6
第1ターニング・ポイント
主人公が明確な意志を持って、次の段階に進む。
STEP.7
サブプロット
・ちょっとした場面転換。観客にとっての息抜き。
・ラブストーリーであることが多い。
・それまで登場しなかった人物が出てくることが多い。
STEP.8
お楽しみ
・「そもそも何でこの映画を見に来たんだっけ?」「あのポスターにあったシーンってどれ?」といった観客の疑問に答える場。
・ストーリーの最終ゴールを少しそれて、お約束の場面を見る場所。
STEP.9
ミッド・ポイント
主人公が、見せかけだけの、「絶好調」か「絶不調」になる。
STEP.10
迫り来る悪い奴ら
悪い奴らが再び一致団結して、パワーアップして主人公に迫ってくる。
STEP.11
すべてを失って
・ミッドポイントで絶不調だったら、ここでは絶不調に。絶不調だったら、ここでは絶好調に。
・登場人物の誰かが死ぬことが多い。
STEP.12
心の暗闇
絶望を経て、悟るシーン。
STEP.13
第2ターニング・ポイント
解決策が見つかる。
STEP.14
フィナーレ
・悪い奴らを一掃する。
・主人公が勝利しただけでは十分ではない。世界が変わる必要がある。
STEP.15
ファイナル・イメージ
・オープニング・イメージと対の場面。
・本物の変化が起きたことを見せる場。

という感じです。

構成には起承転結が必要!っていうのはよく聞きますが、ここまで細かいものは初めて見ました。

しかも、それぞれの構成の分配ページ数も、ブレイク・スナイダーは決めてしまっています。スゴい。

maLuco

この構成見てるだけで、なんかワクワクしてくる笑

実際に、最近観た映画「トゥルーマン・ショー」で、この構成をなぞってみました↓

STEP.1
オープニング・イメージ
映画 構成 トゥルーマンショー1

・トゥルーマン(主人公)を隠し撮りし続けている、「トゥルーマン・ショー」という番組の存在がほのめかされる(え、何々どういうこと?って一気に引き込まれる)
・トゥルーマンは、日常に何も疑問を持たずに生きている。

STEP.2
テーマの提示
映画 構成 トゥルーマンショー2

・私は、「トゥルーマン・ショー」のテーマは、「自分の人生は自分で作る」だと考えています。
・このテーマの提示のシーンでは、トゥルーマンが、どこかに電話して「ローレン」の場所を突き止めようとしています。これがテーマの提示かなと。ローレンは、かつて恋した相手。その相手を彼が見つけ出すことが、「自分の人生を自分で決める」ということに繋がるのかなって。

STEP.3
セットアップ
映画 構成 トゥルーマンショー3

この「主人公に足りないものを見せる場」では、トゥルーマンが海を怖がって、船に乗れない姿が映し出されています。
海を怖がるのは、かつて海で父を失った経験があるから。
しかしこの経験は、番組側が作り出したもの。
つまり、番組側の意図のままにしか動けない状態=自分の人生を自分で決められていない状態。

STEP.4
きっかけ
映画 構成 トゥルーマンショー4

ストーリーが動くきっかけは、死んだはずの父に再会するシーン。

STEP.5
悩みのとき
映画 構成 トゥルーマンショー5

トゥルーマンは、密かに想い続ける「ローレン」のモンタージュ画像を作りながら、彼女への想いを募らせます。悩んでます。
さらに、街中の異変(自分が世界の中心になっているということ)に気がつき、悩んだり。
フィジー島に行こうと思っても、世界中が邪魔してきて、街から離れられない状態に。

STEP.6
第1ターニング・ポイント
映画 構成 トゥルーマンショー6

しかし、トゥルーマンは、ついに意を決し、妻を車に乗せ、街の外に出ようとします。ターニングポイントですね。

STEP.7
サブプロット
映画 構成 トゥルーマンショー7

この「観客にとっての息抜き」的な場面では、街を出るトゥルーマンの邪魔をしてくる人々と、闘う姿が描かれています。面白おかしく。

STEP.8
お楽しみ
映画 構成 トゥルーマンショー8
このお楽しみがどのパートに当たるのかちょっと難しかった。
妻のメリルと闘うシーンかな?
STEP.9
ミッド・ポイント
映画 構成 トゥルーマンショー9

偶然を装って妻との争いを止めにきた、友人と語るシーン。
トゥルーマンは、「自分の頭がヘンなのかな」と嘆きます。絶不調。

STEP.10
迫り来る悪い奴ら
映画 構成 トゥルーマンショー10

しかし、励ましてくれている友人の言葉は、全て番組側から支持されているセリフ。
この辺りから、番組制作側の映像がたくさん出てきます。

STEP.11
すべてを失って
映画 構成 トゥルーマンショー11

友人の励ましの後、亡くなったはずの父と再会。
感動的なシーンに、番組制作側は大喜び。
トゥルーマンも喜んでいるかなと思ったのですが、後から考えると、ここで彼は絶望していたんじゃないかな。
嘘を見破っていたんじゃないかと。

STEP.12
心の暗闇
絶望して悟るシーンは、あえて明確に描かれていません。
あえてその動きを観客に気がつかせないようにしているのかな、と。

映画 構成 トゥルーマンショー12

しかし、普通の日常に戻った彼は、笑顔で「人生はどうなるか分かりません」と、話します。
この笑顔が、何かを悟った表情に見えないこともない。

STEP.13
第2ターニング・ポイント
映画 構成 トゥルーマンショー13

日常に戻ったと見せかけて、トゥルーマンはこっそり抜け出します。2回目のターニングポイント。

映画 構成 トゥルーマンショー14
自ら船を運転し、海に乗り出すのです!

STEP.14
フィナーレ
映画 構成 トゥルーマンショー15

番組側に天候を操作されて、嵐を起こされるものの、トゥルーマンは負けません。

映画 構成 トゥルーマンショー16

船に乗れないほど海を怖がっていたのに、彼は、嵐に打ち勝ち、生き残ります。

STEP.15
ファイナル・イメージ
映画 構成 トゥルーマンショー17

そして、ラストシーン。彼が生まれてからずっと過ごしてきた「作り物の世界」の出口を見つます。
そして、彼は自分の意思で、その出口から出ていきます。
このシーンは、自分の人生を自分で作る、ということを表現しているんじゃないかな。

ということで、勝手ながらトゥルーマンショーの構成を、ブレイク・スナイダーの構成に当てはめてみました。

ほぼほぼ、構成がマッチしたので、びっくり。

他の映画でもまたやってみたい!

(画像引用元:Netflix

筆者の主張は、映画の脚本以外にも通じる話

ジャンル分けにしろ、構成にしろ、ブレイク・スナイダーの主張から学べることは、

パターンを見つけて、学べ。

ということですよね。

名監督の人たちは、映画について語るとき、膨大な作品から様々な引用ができるそうです。

なぜか?

それは、彼らが皆、作品を分解して研究してきたから。

その映画がどう機能しているか、その仕組みを説明できるから、適切な引用もできる、と。

映画以外のものでも、過去の作品の研究って、結局外せない作業なんだなと突きつけられた感じです。

その他、「SAVE THE CATの法則」で面白かったところ

その他、この「SAVE THE CATの法則」で印象的だったことを、箇条書き。

作品を見る人の目線で考えることを、徹底せよ。

「どんな映画なの?」の質問に、もしも一行ですばやく、簡潔に、独創的に答えられたら、相手は必ず関心を持つ。
(この一行は、ハリウッドではログラインと呼ばれている。)

・ログラインには、必ず皮肉(つかみ)があるべき。

主人公は、以下の条件が揃っている人物にする。
共感できる人物
学ぶことのある人物(感情が変化するのに一番時間がかかる)
応援したくなる人物(設定された状況の中で一番葛藤する)
最後に勝つ価値のある人物
原始的でシンプルな動機があり、その動機に納得がいく人物

※原始的でシンプルな動機とは、以下のようなもの。
生き延びること
飢えに打ち勝つこと
セックスをすること
愛するものを守ること
死の恐怖に打ち勝つこと

・人間は、葛藤している人間を見るのが好き。

・人生で成功するとは、変われる、ということ。

・映画は、映像で語るストーリー。わざわざ言葉で語る脚本は、ダメ、

・主人公も悪役も互角だけど、悪役のほうが、ほんの少しだけ主人公より強い方がいい。だからこそ主人公は必死に戦うから。

・コメディーであれ、ドラマであれ、肝心なのは、観客を感情的にヘトヘトにさせること。あらゆる感情を働かせ、経験させる。

・セリフが下手かどうかを診断するテスト
脚本のどこか1ページを選んで、登場人物の名前を隠し、セリフを読んでみる。そうやっても、誰の台詞かわかれば、登場人物が魅力的に書かれているということ。

・自分を売り込むのに一番重要なのは、人と会って話すこと。

SAVE THE CATの法則まとめ

以上、脚本術の本「SAVE THE CATの法則」について、ご紹介してきました。

映画好きや、映画の脚本家だけでなく、

「何かしら、ストーリーを伴う作品を作りたい」

といった人には、勉強になる本なんじゃないかな。

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